Inbound / SENNIN and QROIX

初めてライブを観てシーンが彼に注目する理由を身をもって理解できたし、勢いのあるライブとは対照的にとても謙虚な姿勢にも好感が持てた。基本的にライブでヤラれたアーティストは応援したいし、こういったタイミングはセレクトショップとして恵まれた機会である。外見からは想像もつかない声量、魂が乗るRAP。昨夜のラインナップにあってとりたてて印象的なLIVEだった仙人掌のEPが入荷しました！

Inbound / SENNIN and QROIX 【1500円(tax in)】

雲のすき間から斜陽が顔を出し梅雨の終わりをつげる雨上がりのQXスタジオ。

モニターは古い映画が垂れ流され、スピーカーからbeatがloopされている。

beatを聴きリリック綴る仙人掌。
床に散らかったレコードや雑誌と同化している。
ソファで煙を燻し曲の編集を進めるQX。

こんな調子が昼下がりから続き2人の集中力が切れかけた時、LOOPの途切れたタイミングで映画の台詞だけが聞こえてきた。

『オレ、もう終わっちまったのかな…』

『まだ、始まっても無ぇよ』

その刹那、QXが飛び起き咆哮した…

「オレだって終わって無いし！」

「てか、始まっても無いから！」

咆哮と同時にbeatのloopが始まり、咆哮はbeatに掻き消され、虚無感だけが残った。

虚無感が部屋に広がるなか、仙人掌がペンを置き

「クロくん！ビール呑み行こう！」

屈託の無い笑みだった。

QXは頷き、当てもなく2人は街にくり出す。
街が帰路に着く人を照らす頃、彼らは先に一杯かっくらう…

このEPは仙人掌とQROIXのサボタージュとメランコリックが自らの内を削り、堀探る様を詰め込んだ唯一無二のsmorkey town blues。

また暑い季節が始まろうとしてる。


text by Kyuma Kamikawa


[Track List]

01 - Inqro
02 - We Grind (Feat.CENJU)
03 - Futurolla
04 - Hot Station
05 - 46st
06 - Faded (Feat.MUTAfromYNGDRNK)
07 - Instagun
08 - Remember To Remember (Feat.H.I.T)
09 - 世界(Danaked)
10 - Tokyo Tower